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家を今買うか、3年間賃貸で待つか。住宅価格と金利で考える住み替えの選択

この記事のポイント

子どもの進学に合わせて家を今買うか、3年間賃貸で待つか。 東京23区のファミリー向け住宅を想定したモデルケースで、住宅価格・家賃と住宅ローン金利から、費用と暮らしの両面を比較します。

子どもの中学進学をきっかけに、住み替えを考えました。

子どもが通学しやすい場所に住みたい。今より広く、使い勝手のよい間取りを家族に用意したい。

一方で、住宅価格が高い今、購入を急ぐ必要があるのかという疑問もありました。

そこで考えたのが、中学進学に合わせて住宅を購入するか、いったん賃貸に住んで高校進学までの3年間を待つかという選択です。

私自身は、最終的に購入を選びました。

ただし、住宅購入が誰にとっても正解だとは考えていません。家族の暮らし、住宅価格、金利、手元資金の使い方によって、合理的な選択は変わるからです。

今回は東京23区のファミリー向け住宅を想定し、お金と暮らしの両面から比較します。

住宅価格と家賃は、どのくらいを想定する?

東京23区の住宅価格と家賃は、エリアや広さ、築年数によって大きく異なります。

今回は市場データを参考に、中古マンションの購入価格を8,000万円、賃貸住宅の家賃を月33万円とするモデルケースを設定しました。

ただし、購入価格と家賃は異なる対象・条件の市場データを参考にしたもので、同一物件の購入・賃貸条件ではありません。費用構造の違いを整理するための試算です。

比較条件

  • 購入価格:8,000万円
  • 賃料:月33万円
  • 住宅ローン:物件価格8,000万円を全額借入
  • 購入諸費用:560万円(物件価格の7%)を自己資金で支払う
  • 金利:変動金利を想定し、当初年1.70%で試算
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済・ボーナス返済なし
  • 比較期間:3年間

ここでいうフルローンとは、物件価格の全額を住宅ローンで借り入れることです。購入諸費用まで借り入れる設定ではありません。

したがって、頭金は0円ですが、購入時には諸費用として560万円の自己資金が必要です。

金利1.70%は試算上の参考値であり、実際の融資条件や適用金利を示すものではありません。

毎月の支払いは、購入が約25.3万円、賃貸が33万円

8,000万円を年1.70%、35年で借り入れた場合、毎月の住宅ローン返済額は約25.3万円です。

家賃33万円と比べると、住宅ローン返済のほうが月約7.7万円低くなります。

最初の3年間を比較すると、次のようになります。

項目今購入する賃貸で待つ
毎月の返済・家賃約25.3万円33万円
3年間の支払総額約910万円1,188万円
うち住宅ローン元本約515万円―
うち住宅ローン利息約395万円―
3年後のローン残高約7,485万円―

※住宅ローン金利と家賃が3年間変わらない場合の概算です。

住宅ローンの返済は、元本と利息に分かれています。

今回の条件では、最初の3年間で約515万円の元本を返済します。住宅価格が変わらなければ、借入残高が減った分だけ住宅の純資産価値が増える計算です。

ただし、毎月の返済額だけで購入が有利とはいえません。購入には住宅ローン以外にも費用がかかるためです。

購入には住宅ローン以外の費用がある

住宅を購入すると、仲介手数料や登記費用、融資関連費用などが発生します。

購入後も管理費や修繕積立金、固定資産税などが必要です。

一方、賃貸でも敷金・礼金、仲介手数料、保証料、更新料などが発生する場合があります。

今回は比較のため、次の費用を仮定します。

  • 購入諸費用:物件価格の7%(560万円・自己資金)
  • 購入後の維持費:月5万円(管理費・修繕積立金・固定資産税等を月額換算した合計)
  • 賃貸初期費用:132万円(敷金1か月・礼金1か月・仲介手数料や保証料等2か月分。前家賃は含まない)
  • 賃貸更新費用:家賃1か月分(33万円。2年契約で1回更新する想定)
最初の3年間の現金支出今購入する賃貸で待つ
ローン返済・家賃約910万円1,188万円
購入諸費用560万円―
維持費180万円―
賃貸初期費用―132万円
賃貸更新費用―33万円
合計約1,650万円1,353万円

※諸費用・維持費・賃貸初期費用・更新費用は試算上の仮定です。実際の費用は物件や契約条件によって異なります。

最初の3年間の現金支出だけを見ると、賃貸のほうが約297万円少なくなります。

ただし、購入側の支出には約515万円の住宅ローン元本返済が含まれています。元本返済は借入残高を減らすため、利息や管理費と同じ性質の費用ではありません。

一方、賃貸初期費用には退去時に返還される敷金が含まれています。

今回のモデルで敷金33万円が全額返還されると仮定すると、賃貸側の支出は1,320万円となります。

住宅ローンの元本返済を除く購入側の支出は約1,135万円。返還される敷金を除く賃貸側の支出は1,320万円です。この条件では、購入側が約185万円少ない計算になります。

ただし、これは住宅価格が横ばいで、売却費用や住宅ローン控除、手元資金の運用益などを考慮しない、最初の3年間に限った比較です。

住宅ローン控除も、購入と賃貸を比較するうえで重要な項目です。

2026年入居の中古住宅では、一定の要件を満たすと、年末の住宅ローン残高等の0.7%を所得税等から控除できます。ただし、借入限度額は住宅の性能や世帯条件によって異なります。

例えば、年間の控除上限が14万円の住宅なら、3年間の控除額は最大42万円です。

これは制度上の上限額を単純に合計した目安です。実際の控除額は、各年の住宅ローン残高や所得・納税額、他の税制特例の利用状況などによって変わります。

今回の試算では住宅性能や個人の税務条件を特定していないため、住宅ローン控除を費用比較に算入していません。

また、賃貸を選んだ人が3年後に住宅を購入すれば、その時点で購入諸費用が発生します。

最初の3年間の費用が少ないことと、長期的に有利であることは別の話です。

3年後に住宅価格が下がったら?

住宅購入を待つ理由として、価格の下落を期待する方もいると思います。

仮に8,000万円の住宅価格が3年間で5%下がれば、購入価格は7,600万円。今より400万円安く購入できます。

一方、5%上がれば8,400万円になります。

3年後の価格変化想定購入価格
10%下落7,200万円
5%下落7,600万円
横ばい8,000万円
5%上昇8,400万円
10%上昇8,800万円

※将来の住宅価格を予測するものではなく、価格変動の影響を確認するための仮定です。

住宅価格が下がれば、購入を待った人にはメリットがあります。

しかし、その間には家賃が発生します。今購入した人は住宅ローンの元本返済も進めています。

また、住宅価格が下がった場合、今購入した人の保有資産の価値も下がります。

例えば5%下落した場合、3年後の住宅価値は7,600万円、住宅ローン残高は約7,485万円です。

差し引き約115万円が住宅の純資産価値になります。ただし、これは売却費用などを差し引く前の金額です。

実際に7,600万円で売却し、仲介手数料が売買価格の3%+6万円に消費税を加えた上限額で発生すると仮定すると、仲介手数料だけで約257万円になります。

3年後に5%下落して売却する場合金額
売却価格7,600万円
住宅ローン残高約7,485万円
売却価格と残債の差約115万円
売却仲介手数料(税込)約257万円
追加で必要となる自己資金約142万円

※仲介手数料は上限額で試算しています。実際の手数料は契約条件によって異なり、抵当権抹消費用などのその他の売却費用は含んでいません。

住宅価格が横ばいの8,000万円で売れた場合でも、残債との差額は約515万円。売却仲介手数料約271万円を差し引くと、手元に残るのは約244万円です。購入時に支払った諸費用560万円を回収できるわけではありません。

このように、3年程度の短期間で売却すると、購入時と売却時の諸費用が大きな負担になります。

特に、高校進学に合わせて再び住み替える可能性が高い家庭では、購入より賃貸で待つほうが合理的な場合があります。

住宅価格が下がる可能性は、購入を待つ人にとってのメリットであると同時に、今購入する人にとってのリスクでもあります。

住宅価格が5%下がっても、金利が上がれば?

住宅購入のタイミングを考えるとき、価格と同じくらい重要なのが住宅ローン金利です。

仮に3年後、住宅価格が5%下がって7,600万円になった場合を考えます。

購入条件毎月の返済額
今:8,000万円・金利1.70%約25.3万円
3年後:価格5%下落・金利1.70%約24.0万円
3年後:価格5%下落・金利2.20%約26.0万円
3年後:価格5%下落・金利2.70%約28.0万円

※いずれも35年の元利均等返済で、借入当初の金利がその後も一定と仮定した比較です。

住宅価格が400万円下がっても、金利が1.70%から2.20%に上がれば、毎月の返済額は今より約7,000円高くなります。

もちろん、3年後に金利が上がると決まっているわけではありません。

また、今購入した場合も変動金利なら、その後の金利上昇によって返済負担が変わる可能性があります。

金融機関によっては返済額の見直しに関するルールが設けられていますが、金利上昇による利息負担そのものがなくなるわけではありません。

この表は、異なる時点で新規に住宅ローンを借りた場合の比較です。今購入すれば低い金利が35年間保証されるという意味ではありません。

住宅価格が下がるかどうかだけではなく、金利や待っている間の家賃も含めて判断することが大切です。

高校進学まで待つメリットもある

今回の住み替えには、お金以外にも大切な視点があります。

子どもの進学です。

中学進学に合わせて購入すれば、希望する住環境を早く整えられます。

通学時間を短くしたり、勉強する部屋を確保したり、家族が過ごしやすい間取りを選んだりできます。

一方、高校進学まで賃貸で暮らす選択にも意味があります。

高校の進学先が決まってから、通学先に合わせて購入エリアを選べるからです。

中学と高校では、通学先も生活時間も変わる可能性があります。

将来の変化に対応しやすいことは、賃貸のメリットです。

加えて、3年後に住み替える可能性が高い場合、購入すると売却時の費用や住宅価格下落のリスクを負うことになります。賃貸であれば、そうした負担を避けながら次の住まいを選べます。

ただし、子どもの中学生活3年間は一度しかありません。

その3年間をどんな住環境で過ごすのか。

家族にとっての価値は、住宅価格の変動だけでは測れません。

結局、どちらを選ぶべきなのか

私は、住宅価格が下がるまで待つこと自体を目的にしないほうがよいと考えています。

将来の住宅価格や金利を正確に予測することはできません。

その一方で、家族が今どんな暮らしを望んでいるかは、具体的に考えることができます。

今購入することが合理的なのは、長く住む予定があり、希望する物件が見つかっていて、返済にも無理がない場合です。

反対に賃貸で待つことが合理的なのは、進学先や生活環境が変わる可能性があり、購入エリアをまだ決めきれていない場合です。

判断の視点今購入する3年間待つ
住むエリア長く暮らしたい地域が決まっている進学先などで変わる可能性がある
住環境希望する物件が見つかっているまだ条件を整理している
家計購入後も十分な余力がある手元資金を確保しておきたい
将来の変化長期居住を想定できる3年程度で住み替える可能性が高い

私自身は、最終的に購入を選びました。

家族が希望する住環境を今整えたいという思いに加え、住宅ローンを活用することで、手元の資金を将来に向けて残せることも判断材料になりました。

購入時の自己資金は諸費用を中心に抑え、物件価格には住宅ローンを活用しています。手元に残した資金は資産運用にも活用しています。

ただし、運用には元本割れのリスクがあり、住宅ローン金利が上昇する可能性もあります。

そのため、住宅ローン金利と運用利回りの差だけで購入を判断することは勧めません。

住宅購入では、頭金をどの程度入れるか、手元にいくら残すか、残した資金をどう活用するかも重要です。

物件だけでなく、資金の使い方まで含めて考える必要があります。

まとめ

家を今買うか、3年間賃貸で待つか。

今回の試算では、東京23区の市場データを参考に設定したモデルケースとして、購入価格8,000万円、家賃月33万円という条件で比較しました。

住宅ローン返済は月約25.3万円。購入には諸費用や維持費がかかる一方、住宅ローンの元本返済が進みます。

ただし、3年程度で売却する場合には、購入時と売却時の諸費用や住宅価格の変動が大きく影響します。

賃貸には、将来の進学先や生活環境に合わせて住む場所を選び直せる柔軟性があります。

どちらが有利かは、住宅価格や金利だけでは決まりません。

家族がどんな暮らしを望んでいるのか。その暮らしをいつ実現したいのか。そして将来のお金に無理がないか。

住まいと家計の両方から判断することが大切です。

Lauleaでは、住宅購入を前提とせず、購入と賃貸の比較や無理のない予算、住宅ローンの選び方などを一緒に考えています。

不動産を買う前に、お金の将来設計から。

購入するかどうか迷っている段階でも構いません。

住まいとお金のことを、一緒に考えてみませんか。

住まいの購入・住宅ローンのご相談

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。試算は一定の仮定に基づく概算であり、将来の住宅価格や住宅ローン金利を予測するものではありません。実際の取引費用、税制、借入条件などによって結果は異なります。

よくある質問

結局、住宅を今買うべきですか?それとも待つべきですか?

長く住むエリアが決まっていて、無理のない資金計画を立てられるなら、今の購入を検討する価値があります。進学先や生活環境がまだ定まっていない場合は、賃貸で待つことも合理的な選択です。私自身は子どもの進学をきっかけに住み替えを検討し、購入を選びました。住宅価格や金利の先行きは正確に予測できませんが、家族が希望する住環境を今整えることに価値を感じたからです。

住宅購入では、頭金を多く入れたほうがよいのでしょうか?

頭金を多く入れるか、資金を手元に残すかは、家計の余力やリスク許容度によって異なります。頭金を多く入れれば借入額と利息負担を減らせますが、手元資金が少なくなり、急な出費や将来の選択肢に備えにくくなります。私は購入時の自己資金を抑え、手元に残した資金を資産運用に活用する方法を選びました。ただし、運用には元本割れのリスクがあり、金利上昇によって借入コストが増える可能性もあります。

住宅価格が下がるまで購入を待つべきですか?

価格が下がるとは限らず、待っている間の家賃や住宅ローン金利の変化も考える必要があるため、価格の下落を待つこと自体を目的にするのはおすすめしません。私は希望する住環境と家計のバランスを優先して購入を決めました。価格だけでなく、家族がその時間をどう過ごすかも判断材料にすることが大切です。

住宅ローンを借りながら資産運用するのは合理的ですか?

住宅ローン金利より高い利回りで運用できれば、資金効率を高められる可能性があります。ただし、借入金利と運用利回りを単純に比べるだけでは不十分です。税金や手数料、運用資産の価格変動、金利上昇時の返済負担も考慮し、生活に必要な資金を確保したうえで判断することが大切です。私自身もこの考え方を取り入れていますが、運用で損失が出る可能性も踏まえて資金を配分しています。

監修・執筆

板橋 祐斗株式会社Laulea 代表取締役
株式会社Lauleaの経営と並行して、企業の顧問業務や不動産事業の立ち上げ、営業組織の構築、事業運営などを幅広く経験。不動産の実務経験とFP(ファイナンシャルプランナー)の視点を活かし、住宅購入・売却、住宅ローン、資産形成に関する情報を発信しています。不動産とお金の両面から、お客様一人ひとりの暮らしや将来を見据えた意思決定を支援しています。

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